櫻井音楽工房の音楽制作小咄

~櫻井音楽工房もしくは櫻井隆仁の音楽制作の近況を綴って参ります~

「“あはれ”なる言の葉」考

今年'14年夏より展開中の“ミドリノミサキ”。和歌…特に古今和歌集に詠まれたモノをベースに詞を作り上げてる企画なのですが、11月リリースの新曲『あはれなる言の葉』では“もののあはれ”をテーマに組み上げた作品。

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「あはれなる言の葉」ミドリノミサキ official web site PAGE

さてその《あはれ》という言葉、いつも付けている英語の副題を決めるとき、
「はて、適訳がない…」(・.・;)
とフリーズ。。。

“哀れ”“憐れ”とも質の異なる言葉。
“あわれ”→“あはれ”
と表記したら刹那、「悲しみ」「寂しさ」を意味するだけなく、喜怒哀楽、感情の動きすべてを内包してしまう、とても曖昧な(?)日本的な言葉…日本的感性とでも言いましょうか。

単語に意味を限定する方向のヨーロッパ語族系にはない…いや表意文字の漢字文化にもないかも。強いて言うならため息を表記する「嗚呼…」が一番近いかな?!。でもこれはあくまで音の表記だし…。

さてそれでも英語の副題を付けねばと、和英辞書片手に頭を捻り三昼夜(ホントにw)、
「sorrow、sad、lonely…どれも違うなぁ」
と、ふと英和辞典を広げ目に入った、
「- aware -」
…“あはれ”じゃなく“アウェアー”(笑)「気が付く」という意味の英語の形容詞。

日英股に掛けた駄ジャレのような(?!)その単語を見た時(笑)、
「そうか“あはれ”とは〈感情の動きに気付く〉というコトか!」
と閃き、頭をよぎったのが副題、
「Being aware of emotion in motion」

これなら鮮やかな紅葉を見た時、切ない恋の夢を見た時etc.…すべてにしっくり来る!
日本人以外の方にもピンとくるといいのだけど(^^;

紫式部は「あはれ」、清少納言は「をかし」を頻繁に用いたとよく比較され言われますが、千年前使われ出した表音文字“ひらがな”の恩恵で、日本人はとても豊かな言葉ワールドを作り出したんだなぁとしみじみ。

さてその文化を受け継いだ日本人。現代21世紀だと「やばい!」がそれに該当?!するのかな(笑)。千年後31世紀に『やば~いって言の葉』って曲を作ってる人がいたら、それは“いとをかし”~(^^)

枯葉も叩き落されるような降り方で、冷たい雨風続く初冬の東京。
こんなコトを朝からしたためつつ、さぁ今から次なる新曲のトラックダウンだぁ♪  

あはれなる言の葉

あはれなる言の葉